2012年、闘いと夢の果て
2012年、雪の降る夜。
日本最大規模のライブ会場で数万のファンが見守る中、
一人の少女が告白する。
「私は、桐生一馬の家族です」
それは、一人のアイドルが一人の人間…… 澤村遥として
自身の本当の夢を宣言した瞬間だった。
時を同じくして、“堂島の龍”桐生一馬は
日本五大都市を巻き込んだ一大抗争の決着に辿りついていた。
降りしきる雪の中、再会を果たす桐生と遥。
その先には、小さく穏やかな日々が訪れるはずだった……
許されざる者たち
遥、そして沖縄で待つ養護施設の子供たちとの暮らしを迎えるため
桐生は再び身を洗う決意をする。
刑期は3年。幸せを手に入れるためには必要な代償だった。
だがその僅かな「空白の時間」が、彼らの人生の歯車を狂わしていく。
衝撃的な形で芸能界から引退した遥。
それに対する世間の目は予想を超えて苛烈なものだった。
日夜繰り返される遥への誹謗中傷。
大衆の興味という名の無垢な攻撃は、
次第にアサガオの子供たちへと及んでいく。
遥は独り、己の覚悟の甘さを思い知らされていた。
2016年、事件の始まり
そして2016年。
刑期を終えた桐生は、出迎えた子供たちから
残酷な事実を知らされる。
遥の失踪。
自分がアサガオにいることで子供たちに
これ以上の影響が及ぶことを恐れた遥は
ある日、こつ然と姿を消していた。
事態を予想できなかったこと、傍にいてやれなかったこと。
希望に満ちて沖縄へと戻った桐生は、
自分の不甲斐なさに苦しむのだった。
遥の事故
遥の行方を探る桐生は、神室町へと向かう。
旧知を頼り、足取りを追うものの、一向に手掛かりはつかめない。
途方に暮れる桐生の元に、刑事の伊達から一本の電話が入る。
そこで告げられたのは、遥が事故に遭い、
意識不明の重体だという信じがたい事実だった……