桐生編STORY

三人の若頭補佐

「随分待たせるじゃねえか。偉くなったモンだな?桐生」

堂島組事務所に到着した桐生へ鋭い言葉と眼光が突き刺さる。
桐生を迎えたのは堂島組「を支える」削除の三人の若頭補佐。

若頭補佐兼久瀬拳王会会長・久瀬大作。
若頭補佐兼泰平一家組長・阿波野大樹。
若頭補佐兼渋澤組組長・渋澤啓司。

桐生は三人の幹部から意外な事実を知らされる。
殺された男は「射殺」されていたというのだ。

自身の無実を確信する桐生。
だが、三幹部の関心はそこに無く、桐生を殺人犯と決めつけたまま詰問する。

「桐生…… お前何で『あの場所』で殺ったんだ?」

それはあの街金からの指示だった。
この手の仕事にうってつけの場所があると。
だが何故そんなことを気にするのか。
戸惑う桐生に久瀬が口を開く。

「あの場所はな…… 通称『カラの一坪』って厄介な土地なんだよ。
 堂島組長から俺ら若頭補佐に命令が出てたんだ。
 どんな手使ってもその『カラの一坪』を手に入れろとな」

だが「カラの一坪」が殺人現場となったことで警察の目が向いたため、土地入手の動きは鈍らざるを得なくなったという。
久瀬が更に続ける。

「親が欲しがるもんを差し出す。それが子分の義務ってワケだ。
 それに、あの土地を堂島の親父に差し出した奴にはとっておきの褒美が用意されている……
 堂島組、次期若頭のポストだ」

風間のポストである堂島組若頭。三幹部はその座を奪おうとしていたのだ。
自身の殺人の濡れ衣のみならず、恩人の風間にも思わぬ危機が迫っていた。

「桐生。サツには今日中に自首しろよ。それとエンコ詰めとけや」

愕然とする桐生をよそに、三幹部は席を立つ。
桐生はただ、立ち尽くすしかない……